1.   
  2.   
  3.   
  4. 八重歯って。(歯科専門誌より・・・。)

八重歯って。(歯科専門誌より・・・。)

npimage

世の中いろいろな職業がありますね。そしてそれぞれの職業にはその職業の人しか読まない、マニアックな雑誌があると聞きます。酪農専門誌、ねぎ専門誌、やどかり専門誌、中には月刊『仏事』なんてのもあるそうです。

歯科にもいくつかの専門月刊誌があります。

内容は治療症例集、新しい材料、経営相談、求人情報などなど。

その中に『デンタルダイヤモンド』という雑誌があるんですが、その11月号に面白いコラムがありました。精神科医の斎藤 環(たまき)さんという人が八重歯についてかいています。

私も常々思っていたんです、「なんで日本人は八重歯が好きなんだろう?」と。

 

八重歯.jpg

歯科医であれば、八重歯を好むのは日本人だけで、欧米では八重歯は非審美的なもの、貧困の象徴(欧米では、お金があればまず歯並びを治したいという風潮があたりまえ)でということは周知の事実です。

日本では『かわいい』存在でも、欧米では『ドラキュラ』『野蛮人』

 日本人の八重歯をみてドラキュラみたいで醜い!と西洋人は思ってるんです。↓

ドラキュラ.jpg

(日本人の場合、上の八重歯はかわいい存在でも、下の犬歯が出ているのは恐怖の対象だったようです。ですから昔の鬼の絵は下の犬歯がでているものが多いんです。)

 

 鬼.jpg

それから矯正歯科医の見解では、80歳で入れ歯ではなく、20本以上の自分の歯をもっている人はほとんど歯並びのいい人なのだそうです。

つまり歯並びが悪いことは、歯の寿命に影響するということ・・。

 

 

以下斎藤氏の表現を使用しますが、精神分析的、歯科学的に面白い発見で、すごく真面目な文章なんですが、このブログで(特に女性で)不愉快に感じる方がいらっしゃったらごめんなさい。

 

 

題は『八重歯と処女性』  以下抜粋↓

  

 

 

八重歯というのは、通常は前から3番目の歯がズレていて、キバのようにみえることをいう。

歯科学的には

「歯牙が叢生した状態、特に上顎犬歯の低位唇側転位を指す通俗的表現。鬼歯ともいう。」

要するに八重歯とは一種の「病気」であって、歯列矯正の対象なのである。

 

ところが日本においては、八重歯の矯正率は欧米に比べて圧倒的に低い。

これはもともと日本において歯列の美しさを対人評価の目安とするという慣習がなかったこともある。しかしそれ以上に問題なのは、日本人の八重歯好き。

たとえば昭和のアイドルは八重歯をうりにすることが多かった。

小柳ルミ子、石野真子、河合奈保子、芳本美代子といった面々は臆面もないほど八重歯満開だった。当時ほどではないが平成にはいってからも篠原ともえやモーグルの上村愛子らは八重歯で人気である。

 

かわいなおこ.jpg

つじちゃん.jpg

杉崎美香.jpg 

 

うえむら.jpg

漫画やアニメのキャラクターにおいても八重歯は『萌え要素』の一つである。『うる星やつら』のラムちゃん、『涼宮ハルヒの憂鬱』の鶴屋さんなどが有名である。

 

ラム.jpg

 

 

 

 

鶴屋さん.jpg 

すでにおわかの通り八重歯とは一種のフェティッシュであり、メガネやツインテールなどと同様、美少女をより魅力的にみせるアイテムのひとつなのだ。だから日本人男性の多くは『八重歯フェチ』ということになる。

 

フェティシズムの歴史について燦然とその名を刻む文豪 谷崎純一郎も八重歯の魅力について熱く語っている。

「元来日本では、八重歯や味噌っ歯の不揃いなところに自然の愛嬌を認めたもので、あまり色の真っ白な歯がずらりときれいにならんでいるのは何となく西洋便所のタイル張りの床を思い出すのである・・・・・・・・・・」

 

ここで谷崎は『愛嬌』としているが、八重歯はつまるところ『幼児性』や『無垢』の象徴である。いやもっと端的に断言しよう。それは『処女性』のシンボルにほかならない。

 

その意味で近年もっとも象徴的な事件はタレント沢尻エリカの『八重歯矯正事件』である。清純派で売る出した彼女が「別に・・・」事件でバッシングされ年長のなんとかクリエーターと電撃結婚したあげくすったもんだで芸能界復帰、帰ってきた彼女からはあの可憐な八重歯が失われていた。

 

えりか3.jpg

 

えりか2.jpg

 

えりか.jpg

この映像がテレビで流れるや全国の八重歯愛好家の間で激震がはしったとも聞く。私の連想はこうだ。八重歯は処女性と同一なのだろう。

 

沢尻4.jpg 

 

以上斎藤氏のコラムより・・・・

 

 

彼は日本人にとって『八重歯』とは、

『純粋さ』 

『無垢』

『可憐』

『清純』

を意味しており、八重歯だった人が『八重歯をなくす』ということは

『大人の女性になったこと』

『彼氏ができたということ』

『結婚をしたこと』をあらわしているというのです。

つまり『八重歯』は『処女性』と同一であるという結論なのです。

 

アイドルが引退し、のちに芸能界に復帰するとき、八重歯をなくしていることは多々あります。これは幼いアイドルから大人女性へとイメージを一新する戦略なんですね。

このコラムをよんで、

私たち歯科医師には理解できない『日本人の八重歯好き』

という理由を私は納得できた気がします。

 

そしてその背景には日本人男性の『理想の大和女性』という時代錯誤で勝手な美意識がいまだにあるからではないでしょうか。

年頃でも「彼氏はいません」「付き合った男性はいません」というコメントがうけるアイドル。

70歳超えた女優さんでも「永遠の処女」というニックネームがついていたり・・・。

 

つまり『八重歯フェチ』というのは、

『結婚までは貞操をまもる』という日本人の古い美意識の一種の象徴なのかもしれません。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログを書きはじめて10年以上経ちました。プライベートな事や歯科治療・地域の話題など、書いた当時は一般的だった内容や表現が今では適切ではないものもございます。過去の記事をご覧になる際は予めご了承ください。