院長のブログ

インプラントの使いまわし疑惑が世間をにぎわせています。

もともとは週刊朝日という雑誌にでたことから波紋がひろがったようです。その第2弾として2月5日号にも追加の記事が掲載されていたのをみたのですが、一般の方が誤解されそうな記事の内容でしたので、少し説明いたしましょう。(記事や雑誌、S歯科に対する批判ではないことを付け加えておきます)

インプラント体(フィクスチャー)といわれるネジの部分は1度でもインプラントを植える穴以外の部分にふれてはいけないことになっています。

院内 049.jpg

週刊朝日より抜粋↑

本人の唾液や滅菌されたグローブやピンセットであっても、です。他の患者さんの口にふれたものであれば、なおさらです。

そもそもインプラントはチタンやチタンの合金のネジを、抜歯となった後の骨にうえることで本物の歯と同じように機能させるものなんです。チタンというのが骨とくっつくことがわかったことから、発明された技術なんですね。

これは現在では歯をうしなった場合の最良の処置としてほぼ確率されています。

ちなみに平成13年の統計では日本全国で15万本以上が使われています。平成21年、1年間の国内使用本数は私はしりませんが、おそらく13年度の何倍も使われていることでしょう。

ということは、インプラント治療は、正しい使い方をすれば、とてもいいものなんです。

もし異物にふれたインプラント体を使用したらどうなるか?

多少ふれても何の問題もなく、よい結果が得られることも少なくはありません。(手術中に本人の唾液や歯茎には多少ふれることもあるでしょうから)

しかしながら植える前に異物にふれることは手術後にインプラントが骨とくっつくこと(インテグレーションといいます)の阻害因子になります。

結果インプラント体が骨とくっつかずに、ぐらぐらしてきて抜けてしまうわけです。

報道で70歳代の患者さんAさんが「説明もなく、上下のアゴに23本ものインプラントを埋められて400万円もの治療費を支払った。だが2年以上たったいまでも唇がしびれている」とインタビューに答えています。

インプラントを仮に使いまわしていたとしても、滅菌して再利用していたのであれば、唇がしびれるようなことは通常は考えられません。これは使いまわしとは全く別の問題ですね。

それからこの問題がおこったのは、豊橋市の歯科医師会と、世界的なインプラントメーカーであるストローマン社、インプラントの上部構造をつくっていた歯科技工士さんにも責任がある、と述べています。使いまわしをしていたというのを知っていたはずだ!という雑誌側の言い分です。

これに関しては、客観的にみてすごく気の毒が気がします。

ストローマン社はインプラントを医院が購入するとき、講習をうけないと販売してくれません。

その講習では使いまわしが絶対禁忌であることを、口をすっぱくしていっているはずです。上記の絵のアバットメントという部分は通常はメーカーのつくったものと使用することが多いんですが、この医院では安い金属で技工士さんが作っていた→だから悪い!という書き方をされています。

歯科材料のなかには既製品ではなく技工士さんにつくってもらったほうがはるかにいい場合もあるのでこれはかならずしも悪いとはいえません。

また歯科技工士さんであっても、インプラントメーカーであっても、あまり強くいえる立場ではありません。

また歯科臨床というのは、各自の先生の考え方、理論によって新しい方法、使い方が開発され、独自の裏技だったものが、世界的に共通の表技になることも少なくありません。どういう風に治療するか?という正解はたった一つではなく、日々進化している方法を、医師それぞれ最もいいと判断して実践されるものなのです。

S歯科医院のおこなっていたことが、報道どうりとすれば何らかの処分の対象になるかもしれません。

でもこの事件によって、それ以外のまじめにやっている歯科医院とその患者さんに迷惑をかけてしまうことや、記事のように全く関係ないことに問題が波及して、医療の進歩をさまたげることになることは非常に残念なことです。

 

 

 

 

 

 

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